中東の民族衣装と言えば、男性は白くて長い衣装と頭に被る布、女性は黒くて長いドレスに髪を覆ったものをイメージするのではないでしょうか。
実はこの衣装、中東の中でも国・地域によって少しずつデザインが異なっているのです。
この違いを理解することで、街で見かける中東の人がどこから来たか、ある程度推測することができるのです。
男性の衣装
中東の男性の衣装はトーブ、カンドゥーラなどと呼ばれており、地域により若干の違いはあります。
共通しているのは白の長い「布」を纏い、グトラなどと呼ばれる「布」を頭に被る。
そしてサンダルを履く、ということです。
それぞれの国の衣装の特徴は、頭に被るグトラの柄、カンドゥーラの襟などにあります。
それでは国ごとの違いを見てみましょう。
UAE
名称:カンドゥーラ (Kandurah, アラビア語:كَنْدُورَة)
頭に被るものはグトラ(Ghutrah)と呼ばれる。
特徴カンドゥーラと呼ばれるUAEの衣装には襟がありません。
また、UAEの衣装の特徴は、胸元に垂れ下がるねじれた紐が付いていることでしょう。
頭に被るグトラは白が基本です。
写真はドバイの首長。
胸元にねじれた紐が垂れ下がっているのがわかります。
こちらはイケメンで現地でも大変人気のある首長の息子、ハムダン皇太子。
れっきとしたドバイの皇太子ですが、胸元にはねじれた紐は付いていません。
最近はだんだんと好みによってファッションもバラエティーに飛んできているようですので、ねじれた紐が付いていないものを選ばれているのでしょうね。
サウジアラビア
名称:トーブ(Thawb、アラビア語:ثَوْب)
特徴
襟にボタンが2つ付いていることと、襟にカフスがつけられるようになっていることが特徴です。
サウジアラビアの衣装は他の地域と比べてタイトフィットであるとも言われています。
また、頭に被るグトラは赤白のチェックがサウジアラビアの伝統的な柄です。
こちらはサウジアラビアの皇太子です。
カフスは写っていませんが、襟元のボタンが2つあることがわかります。
また、頭に被っているグトラは赤白のチェックになっていますね。
カタール
名称:トーブ(Thawb、アラビア語:ثَوْب)
ただ真っ直ぐ布を被るのでは無く、頭の上に持ち上げて、前面に菱形のような形を作っています。
コブラをイメージした形のようです。
衣服には襟もあります。
写真はカタールのタミーム首長。
クウェート
名称:ディシュターシャ(Dishdashah、アラビア語:دِشْدَاشَة)
また、比較的タイトフィットであるのも特徴です。
オマーン
名称:ディシュターシャ(Dishdashah、アラビア語:دِشْدَاشَة)
これまで見た国々は柄に違いはあれども、正方形の布を折って頭に被る方式でしたが、オマーンは帽子です。衣装そのものは襟が無く、胸元に短い紐も付いていますので、UAEのものと似ています。
写真はオマーンのドライバーさん。
頭には布では無く、帽子、襟元には短いネクタイのような紐が出ていますね。
色による違いはあるの?
カンドゥーラは白が一般的ですが、ベージュやグレー、濃い青色など様々な色のものを街中で見かけます。
では、色によって意味や違いなどがあるのでしょうか。
意味や明確な違いなどは特にありません。
好みによって白以外の色を来ているだけなのです。
ただ、地元の人に聞くと、色付きのものは冬に着る、という人が結構います。
真夏は太陽光を反射する白一択であるのに対し、気候が穏やかな冬は好みの色を選べるということのようです。
見分け方まとめ
どうでしたでしょうか。
違いがあると言っても結構微妙な違いですね。
実際に街で見かけた時にチェックしてみるには下に書いてあるポイントを上から順番に見ていくとわかりやすいと思います。
頭に被っている布の柄が赤白柄 ⇨ サウジアラビア
頭に被っている布が白地で、コブラの形を作っている ⇨ カタール
襟にねじった紐が付いている ⇨ UAE(アラブ首長国連邦:ドバイやアブダビ)
襟付きのタイトフィットな衣装 ⇨ クウェート
*あくまでも伝統的な衣装の違いであって、UAEの人であっても赤白チェックのグトラを被っていることもあります。
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